老犬介護

ペットの安楽死を決断するまで。アメリカと日本、考え方と医療の違い

2022年10月15日

昨日アンちゃんと半年前に行った旅行記を書いてたら、どうしてもこの話をしたくなった。

アンちゃんの最後は、急に発覚した呼吸不良で救えないと判断したための安楽死でした。

2009年、アンディ1歳、ノースカロライナにて。初恋の相手ジャーマンシェパードのホタテちゃんと。
野生馬とホタテちゃんとパピーだったジャクソンと一緒に

普段から半年に1度の定期健診も行ってたし、当日まで病気について全く疑うこともなかったのに、ある日突然病気が発覚した。

アンディの呼吸が困難になり、緊急酸素室に入った日

2012年、アンディ(左)が4歳の時の写真。ジョージアの家で。

その日は朝から散歩も行きたがらず、朝ごはんを食べようとしなかった

顔をよく見ると、目から緑色の目やにが出てて、それもあわせて心配だったのですぐに病院に電話をしました。

運よくその日の午前中空いている時間があるって言われて、すぐに予約して連れて行った。

病院について、持ち上げようとした瞬間、苦しそうにゼーゼーするアンディ。

どうしてしまったのかわけもわからず、お医者さんに診てもらった結果、慢性肺疾患で肺が圧迫されていて、呼吸困難な状態と言われてしまった。

ジョージアの家の近所で。弟ジャクソン(右)と妹ロビン(左)、3匹はいつでも一緒だったよ

先生は今は目よりもそっちが重要で、今すぐ24時間病院の酸素室に入れなさいと言う。

それでもその時は死ぬなんて意識してなくて、だけどすごく危ない状況だからと夫にも連絡して、一緒に救急病院に向かったと思う。

あの時に起きたことはたったの3日間のことなのに、とてつもなく長く苦しい時間だったので、正直よく覚えていない。

それから酸素室にアンディを預けて、先生と話した時、先生は「Quality of life」っていう言葉を口にした。

つまり、もう助かる望みはないところまで来ていて、苦しませないためには安楽死という選択を、、、という意味なのだ。

自分は安楽死を選択するはずないと思っていた

2014年、カリフォルニア、オーシャンサイドの公園にて

今から1年ぐらい前、ペットシッターをしている縁で仲良くなったアフリカンアメリカン&韓国ハーフのアメリカ人の女性がいる。

私のことを妹みたいと言ってくれて、いつも気にかけてくれるすごくすごく優しい人。

彼女は愛犬を安楽死で見送った経験があって、もし、私の犬に何かあったら力になるから言ってねと言ってくれたことがある。

その時は、彼女の気持ちも知らず、

(絶対に安楽死はさせたくない!)

なんて思ってた。

2017年カリフォルニアのアイディルワイルドにて

だけどそれは、ペットの死を実際に経験したことのない人間の戯言なんだって、アンディの死を体験して思い知らされた。

実際には、安楽死を選択したくなくても、することが愛犬のためだっていうケースは少なくないことに気づいた。

例えば薬が効かないひどい痛みだったり、呼吸困難な状態とか。

そんな状態でペットを生かすことが、どれだけ残酷だろうか。

アメリカではそこに至る前に、「人生を楽しめているか」っていうことも重要視するから、自力でご飯を食べれないとか、排せつできない、歩けない見えない何もできないなんて状態も、人によっては安楽死を選ぶ理由になる。

ただ、その理由で安楽死を選ぶのは日本人的には納得いかないんじゃないかな。

だって、人生を楽しんではいないかもしれないけど、苦痛ではないなら命を奪うのはかわいそうって思ってしまうから。

それに、自分の一存で誰かの命を奪う勇気もない。

アメリカと日本、ペットの安楽死の違い

2017年、カリフォルニアからノースカロライナに引っ越す途中のアリゾナにて

アメリカと日本の状況を比べてみる。

アメリカは日本と比べて、圧倒的にペットの安楽死を選ぶ率が高いと思う。

それにはまず、アメリカの医療費の高さがある。

医療費が高くて払えない。

実際に私たちも、アンディの病気を発見した病院に約1,000ドル、その日酸素室で1泊過ごして3,000ドル、次の日酸素室でもう1泊して2,000ドルかかった。

つまり、たったの3日で日本円にして約90万円だ。

これを良くなる兆しがないままズルズルと延命するのは、かなり厳しい。

また、安楽死を選ぶもう一つの理由として、キリスト教の「死んだら天国で幸せになれる」マインドなのか、そこまで死を「悪」として恐れていないんじゃないかっていうことが考えられる。

あくまでも私の考察だけど、これはクリスチャンのアメリカ人達の、死に対する反応を見て感じたこと。

キャンプ、ハイキング、雪遊びにビーチ、本当にたくさん自然の中で過ごした

反対に日本は病気のペットへのサポートが手厚く、比較的安い値段で延命を手助けする手段が充実しているんじゃないかと勝手に思っている。

ちょっとネットで調べた結果、ペット用酸素室のレンタルがあって、例えば1か月4万円もしないで借りることができる。

それなら、なんとかもう少し踏ん張って様子を見てみようと頑張れる。

もう一つの理由として、できる限り延命すること、寿命を全うすることがが美徳と考えていられるというのもあるかもしれない。

アメリカと日本の安楽死の違いは、医療費と人々の宗教観の違いからくるものが大きいのではないか。

アンディが苦しまないことが最優先事項

ノースカロライナのビーチで走るアンディ

結局、2日酸素室に入っていても良くなるどころかどんどん悪くなるアンディの状態に、私たちは決断を迫られた。

本当は、1日経った後、ちょっとぐらい呼吸が苦しくても、家に連れて帰って最後まで面倒をみたいなんて夫と決めていて、病院に迎えに行った。

だけど医者からは「連れて帰ったら苦しみながら死ぬことになる」と言われて、もうどうしようもなかった。

この状態で、安楽死以外にできることがあったのかな?

もしももっと早く病気に気づいてあげられてたら、もしももっとお金があったら、、、

スタバのパプチーノを楽しむアンディ

私たちだって、アンディを失いたくなかった。

子供のいない私たちの、最初の家族がアンディなのだ。

そんな風に思いながら、スー、、、と呼吸を止めながら息を吸ってみた。

すごく苦しくて一分でも長く続ける気にはなれなかった。

(ああ、これはムリだ、、、)

安楽死でアンディを楽にさせる以外、答えは見つからなかった。

最後に、もう一日だけ望みをかけて待ったけど、やっぱりアンディは回復しなかった。

そこからは早かったと思う。

3日間どうなるかわからない苦しみを味わったけど、自分なりに決断をして、夫に「今日安楽死をしに行こう」と伝えた。

まだ迷っていた(望みを捨てたくなかった)夫が、私が決断したことに驚いたらしい。

だって、夫は私がどれだけアンディを大事にしてきたか知っていたから。

おわりに

私は今まで漠然と、「安楽死は良くない、できればしたくない」と思ってきたけど、アンディのことでそうせざるを得ないこともあるんだと知りました。

それぞれにおかれた状況とか、死に関する考え方の違いから安楽死を選ぶ・選ばないはそれぞれの飼い主さんによって違うもの。

もちろん、なんの努力もせずに諦めるのは反対だけど、死に対する考え方の違いは人それぞれ違っていいんだと思う。

苦しまない方法をとってあげるのも、愛情のひとつ。

そしてもう一つ大事なのは、生前どれだけめいいっぱい愛情を注いであげられたか、だよね。

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