ケガや急な目の病気などで視力を失ってしまった愛犬が安心して暮らせるために、飼い主としてできることは何だろうと思っていませんか?
私達人間が視力を失ったことを想像すると、歩くのも大変な上に何も見えないなんて、どれだけ辛いだろうと思ってしまいますよね。
だけど犬の嗅覚は人間の約1億倍、聴覚は4倍と言われています。
だから人間ほど視界からの情報だけを頼りにしていないので、目が見えなくても工夫次第でお部屋で快適に過ごしたり、また怖がらず歩けるようになることも可能です。
この記事では、全盲の犬が安心して暮らせるための工夫と、私の愛犬ジャクソンが再び歩けるようになるまでのストーリーをまとめました。
こんな疑問を解決します
- 盲目犬が安心して暮らせる為にできること
- 盲目になってもまた歩けるようになるの?
- 歩けるようになるのにどれくらいかかるの?
全盲の犬が安心して暮らせるための工夫
1、安全な環境をつくる
全盲の犬が安心して暮らせる工夫その1は、家の中の安全を見直すことです。
ポイント
- 愛犬の導線上に物が置いていないか
- 家具の角やぶつかったら怪我しそうな物はないか
- 滑りやすくないか
目が見えないことで家具などにぶつかり、さらに目を傷つけてしまう可能性もあるので、まずは愛犬の過ごす環境を見直しました。
また、家具などにぶつかったり階段に近づくのを防ぐためゲートを使って目の届く範囲で生活したり、外出時と夜はプレイペン(ペットサークル)で過ごさせるなどの工夫をしました。
また、盲目犬の顔周りにリングを付けることで顔へ物がぶつかることを防げる盲目犬用リングのバンパーもすごく役に立っています。
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2、声をかけてから体にさわる
全盲の犬が安心して暮らせるための工夫その2は、いきなり触ると驚かせてしまうので、声をかけながら近づくことです。
声をかけながら近づいてもあまり反応しない時は、そばに立って手や体の匂いを嗅がせてから触ると怖がらせることなく接することができます。
焦らず、ゆったりとした態度で接してあげると安心してくれるように思います。
3、ご飯やトイレなどは誘導してあげる
全盲の犬が安心して暮らせる工夫その3は、ご飯やトイレなどは誘導してサポートしてあげることです。
我が家の愛犬ジャクソンの場合、視力を失ってから2か月ぐらいまでは嗅覚が研ぎ澄まされていなかったためか、近くにご飯やおやつを置いても無反応だったり匂いを嗅ぎながら探しても見つけられないことがありました。
3か月経った頃はだいぶ鼻で探し当てられるようになりましたが、ご飯の時は必ず目の前に置いて、トントンとボウルを叩いて「ご飯ここだよ」と声をかけるように。
トイレに関しても同じで誘導が必要ですが、もう一度トイレトレーニングをするかずっとサポートしてあげるかは飼い主さん次第になると思います。
4、嗅覚を強化する遊びを積極的に
そして最後に、全盲の犬が安心して暮らせる工夫その4は、目が見えない分嗅覚を使って楽しめるように、知育トイで積極的に遊ばせることです。
「身体的安心」と言うのとちょっと違うかもしれませんが、心の安定や生きる楽しみのための工夫、という感じでしょうか。
楽しみを増やしてあげることも全盲の犬が安心して暮らせる工夫なのかなと思います。
我が家のジャクソンは知育トイが得意な方ではなく、すぐに諦めてしまう子だったのですが、このニーナオットソンのパズルは適度な難易度なのにジャクソンでもできるようになった優れものです。
まとめ
と言うわけで、まとめると以下の4つが愛犬が全盲になった時に安心して暮らせるための工夫になります。
- 安全な環境をつくる
- 声をかけてから体にさわる
- ご飯やトイレなどは誘導してあげる
- 嗅覚を強化する遊びを積極的に
このような感じで環境を整えてあげて、安心して過ごしてくれたら嬉しいですね。
ところで、ジャクソンも病気で両目が見えなくなって1年半経ちました。
最初はまったく歩こうとしなかったものの、だんだんと歩けるようになり、今ではのんびりですが歩けるようになっています。
もし、「また歩けるようになるの?」「どれぐらいで歩けるようになるの?」と疑問に思われたら、どうぞ続けてお読みください。
目の見えない愛犬はまた歩けるようになるの?
愛犬が盲目になってまず最初に思うことは、この先歩けるようになるのか、どんなサポートが必要なのかということだと思いますが、大丈夫です、ちゃんと歩けるようになります。
私が獣医さんに言われたことは、
犬は人間よりも優れた嗅覚や聴覚があり、移動や情報を得る際は、視覚だけに頼っているわけではない。だから、人間が視力を失うほどの絶望的な状態ではない。
ということ。
だから目が見えなくても、嗅覚や聴覚、そして体感などの感覚を使ってまた歩けるようにもなるし、お散歩に行くこともできるようになります。
我が家のジャクソンが全盲になって歩けるようになるまで
ジャクソンの目の病歴
- 2014年、ジャクソン6歳のときに進行性網膜委縮で右目の視力を失う
- 2018年、白内障で左目の視力を失い盲目に
- 2018年、白内障の手術で左目だけが見えるように
- 2021年、角膜腫瘍でふたたび左目の視力を失い盲目に
- 2022年、左目が緑内障と診断され薬で治療中
2018年に白内障で一度盲目になったけどすぐに手術をしてまた見えるように。2021年に角膜腫瘍になってから完全盲目生活がスタートします。
盲目になって最初の数週間
ジャクソンの目が白く濁って涙がたくさん出るので病院に行ったところ、角膜腫瘍と診断されます。
腫瘍のせいで目の中の一部が解けてしまう病気らしく、治っても視力が戻ることはないと言われてしまいました。上の写真で見ると、角膜腫瘍で左目の中が赤くなってしまっています。
目が見えなくなって最初の数週間は、以下のような状態が続きました。
角膜腫瘍・治療初日~数週間
- 歩かない
- トイレやそばにいて欲しい時は鳴いて知らせる
- トイレはタイミングを見て誘導したらシートの上でするが、外でしたがる
- 朝起きたらベッドに粗相していたことも
まずは歩くことより目の腫瘍を治すことが先です。
トイレのコントロールが難しいのか、数時間おきにトイレに誘導させるも夜中粗相してしまったこともありました。
1ヵ月後
1ヵ月経つと少しづつ自分から歩き出すように。
1か月後
- 徐々に自分で歩き周り、部屋のレイアウトを覚え始める
- 目を離すと壁にぶつかってしまうことも
- トイレシートを嫌がり、人口芝トイレにするようになる(一時期使っていたのですんなりするように)
- 散歩は歩きたがらない
2ヵ月後
2か月経って、ようやく角膜腫瘍が治りました!
そうなるとジャクソンも以前よりずっとリラックスして過ごせるように。
2か月後
- 積極的に歩く
- 室内ではあまりぶつからなくなった
- お気に入りの場所まで自分で歩いて行ける
- 誘導後、階段を勢いをつけて上がれるように
- トイレの時はソワソワして歩き回るので、外へ連れて行く
- 以前のようにとても落ち着いて過ごせるようになる
2ヵ月半~3ヵ月後
そして2ヶ月半後、気づいたらお散歩中止まらずに歩けるようになっていました!
2か月半~3か月後
- 積極的にお散歩で歩くように
- 部屋の中は以前よりも広範囲を歩くように
- リーシュを着けて、階段(3段)を上がる練習を始める
- トイレは室内でしなくなり、外でするようになった
- 角膜潰瘍が完全に治る
このように、ジャクソンの場合は3ヵ月ほどで落ち着いて上手に歩けるようになりました。
もちろん個体差はあると思いますが、年齢が若かったり嗅覚が優れた犬種などによっては、もっと早くスイスイ歩けるようになるかもしれません。
また、室内のいつもいる場所ではぶつかることはほとんどなくなったのですが、これはレイアウトを覚えただけではなくジャクソンの「物に近づく感覚」や「嗅覚」の能力が上がったからのようにみえます。
おわりに
以上が私が実際に視力を失った愛犬ジャクソンのためにした工夫と、歩けるようになるまでの道のりでした。
愛犬の目が見えなくなると知った時はとても辛く、かわいそうに思ったのですが、こうしてサポートを受けながら徐々に歩けるようになっていってくれたジャクソンは本当に強い犬です。
このように、失明してもまた一緒に歩けるようになります!
この体験談があなたとあなたの愛犬の役に立てたら幸いです。
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